九州大学 ムーンショット実証実験・展示@大阪‧関西万博

大気中のCO₂(二酸化炭素)を選択的に透過させる、厚み約30ナノメートル(髪の毛の1000分の1以下)という超薄膜によりCO₂を濃縮するm-DAC®技術。そして回収されたCO₂を電気化学的または熱化学的にメタン等の有用物質に変換させる技術。2025年大阪‧関西万博において公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)が運営する「未来の森」内における、これらの革新的技術を組み合わせた実証実験および展示のコンセプト設計、クリエイティブディレクションおよび実証実験装置デザインをo-lab inc.が手がけました。

九州大学藤川茂紀教授を中心とするチームによる研究開発は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による、日本が世界に先駆けて破壊的イノベーションを創出することを目指す「ムーンショット型研究開発制度」にも採択されており、本プロジェクトのミッションは実証実験の環境を構築すると共にDAC-U(Direct Air Capture & Utilization)技術がもたらし得る未来の暮らしの姿を万博来場者に想起してもらえる体験を作り出すことでした。

しかしながら、本プロジェクトで使用できるのは幅5.4m×奥行2.3mほどの極小かつ半屋外という、空間の有効活用やディスプレイ等による演出にとって不利なスペース。クリエイティブチームはブレインストーミングを重ね、実験スペースと未来の暮らしのデモスペースが機能的・感覚的にも融合するアイデアを考案しました。また、展示のコンセプトとして「Calm but Poking Technology」を策定。Calm Technology(カームテクノロジー)として控え目になるだけではなく、CO₂の回収状態がカウンター下の木目のイルミネーションを通じてシグナルとなるなど、未来の暮らしにおいてテクノロジーは心を心地良く刺激するべき、という哲学が浸透する展示を目指しました。デモ空間にはCGによる未来の女性スミがホログラムやプロジェクションにより登場し、Calm but Pokingなテクノロジーを活用しながら暮らす姿が表現されます。デモ空間でのコンテンツが終了すると、瞬間調光パネルの切り替えにより実験スペース内部が突然目の前に見えるようになり、メタリックなパネル越しにイルミネーションが呼吸するようにゆっくりと点滅する不思議な筐体デザインのDAC-U装置を見ることができるようになります。


展示の様子(Youtube)

Client

九州大学

Year

2025

Collaboration

Space design: Hiromitsu Konishi (miso)
Projection/Holograms/3D CG : Artifice Inc.

Category
Lifestyle, Logo design, Sustainability, Technology
Tags
concept making, graphic design, product design